アドラーは「3日あれば人間は変われると言っています
「まんが! 100分de名著 アドラーの教え 『人生の意味の心理学』を読む」本文より引用
…ただし勇気があればね
書店で何気なく手に取った漫画の一コマに書かれたこの言葉。
これで本当に人生は変えられるのならとすぐさま購入してみました。
結果、私の人生観を一変させる程の影響力でした。
国内売上が200万部を突破した「嫌われる勇気」の内容を一部集約しており、日常生活に置き換えるイメージがしやすいストーリーになっています。

漫画だからすらすら読める!
この記事では、次のような方向けに、本書の概要や特に心を響いた内容をお伝えしていきます。
- 「嫌われる勇気」を読みたいけど、活字が苦手で断念した人
- どういった内容なのか興味がある人
- 自己嫌悪から抜け出したいと思っている人
アドラー心理学に触れ、幸福となる手助けを指南する一冊。
あらすじ
お客様やアルバイトスタッフ(以下スタッフ)が直面した悩みを聞いた喫茶店マスターが、愛読書であるアドラーの名著『人生の意味の心理学』の考えから、解決に導いていく物語形式です。
フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」の1人であるアルフレッド・アドラー。
アドラー心理学が提示する考えは極めてシンプルです。
人間の悩みはすべて対人関係の悩みである
「まんが! 100分de名著 アドラーの教え 『人生の意味の心理学』を読む」本文より引用

え?どういうこと?
驚いたり、混乱したりするのも無理はありません。
しかし、アドラーの考えに触れれば、混乱や驚きを招いたのは自分の今までの人生観のせいであることに気づくはずです。
順を追って見ていきましょう。
[第1章]人生を変える「逆転の発想」

- 人は無意識に感情を捏造する
- 今の現状に過去の経験は関係ない
- ライフスタイルは選び取るもの
自分の行動を決定づけるものは何か。
「アドラー心理学」の真骨頂ともいえる思想に迫ります。
人は無意識に感情を捏造する
スタッフがレストランのウェイトレスに腹を立てているシーンがあります。
日頃からミスが多いウェイトレスに腹を立てていたスタッフ。
大事な洋服に飲み物をこぼされたことが原因で、怒鳴ってしまったとのこと。
しかし、マスターは次のことを根拠に怒鳴ったことは「わざと」であると言います。
- 怒っていても、喫茶店にお客様が来れば笑顔で対応できる
→「怒り」という感情は出し入れできる(捏造できる) - 穏便に説明する手もあったのに、あえて怒鳴っている
→怒鳴りつけることで、相手を困らせ、言うことを聞かせたかった
つまり、怒鳴るのは原因があるからではなく、言うことを聞かせたい目的でスタッフは無意識に怒りを捏造して怒鳴っていたのです。
この「目的により人の行動は決定する」という考えをアドラー心理学では「目的論」と言います。
また、「原因により人の行動は決定する」という考えをフロイト心理学では「原因論」と言います。
- 「原因論」で生きてきた私には、無意識に感情を捏造するという考えに、興味深さと同時に衝撃を受けました。
- 何か行動を取るときは、「手段」として「怒り」の感情を捏造していないか、振り返るきっかけになりました。
劣等感は人生に立ち向かう力をも生み出す
劣等感は「理想の自分と現実の自分とのギャップ」を指します。
今より優れた存在を目指すことを、「優越性の追求」とアドラーは呼びました。
他人と比較する「競争」のような考えを持つと、コンプレックスを抱く要因になるため、他人とは「違い」があることを認め、自分の道を進むことが重要であると説いています。
- 劣等コンプレックス
相手より劣る「言い訳」を用意し、行動しないことを正当化する - 優越コンプレックス
相手の価値を貶めることで相対的に自分を優位に立たせる
健全な優越性の追求は「理想の自分」から生まれるものであり、「他人と比較して優劣をつける」ということではない。
とても心に刺さる言葉です。
ライフスタイルは自分の手で選び取る
過去の経験の意味づけ方で、今後の生き方、行動を決定づけるとは何か。
例えば、好意を寄せる相手がすれ違いざまに視線を逸らした場合を考えてみましょう。
「好意を持っている」と意味づけすれば、「話かける」という行動に繋がります。
しかし、話かけても無視されるという不安材料も存在します。
辛い目にはあいたくないと感じる人は、「避けられている」と無意識に意味づけし、「話かけない」という行動を決定づけているんです。
この意味づけを「ライフスタイル」と呼び、自分で選び直すことも可能だとアドラーは言っています。
無意識に身に着けたライフスタイルを知り、『幸福になれる』ライフスタイルを選んでいきたいですね。
所感
他人と比較して劣等感コンプレックスを感じたり、上手く行かない時は過去に原因を求めたりと、生きづらさを感じることもしばしば。
しかし、追い求めるのは理想の自分であり、理想とのギャップを埋める意味づけをすることが重要であるとアドラーは書籍で気づかせてくれました。
【書籍名】
まんが! 100分de名著 アドラーの教え 『人生の意味の心理学』を読む
【出版社】
宝島社